W還ライフスケッチ 133

私の好きな立ち吞み屋さん

 

「蝉も終わりのようやな、道にコロコロころがっているし」お顔を見知っている程度の同世代のおっさん。

「そ、そうですね、今日は鳴き声確かに減ってましたね」と意表を突かれた私。

季節の移ろいを敏感に感じ、その日その日を大切に生きる日本庶民文化の健在を感じられた瞬間でした!

 

宵のうちのこの店は、こんなさりげない会話を、同席の客同士さらっと交わせる本当にいい場です。

どなたも酔っ払うほど吞むではなく、私の求める理想の酒場に近いです。

 

ただ少し時間が経ってくると、私の嫌いなタイプの常連面の赤二才客が増えてきます。

(ママをホステス扱いし、名前の呼び捨て、飲酒の強要、時間外の呼び出し等、還暦1周目の吞み方が忘れられない未熟な赤二才客もいるんです)

まあ酔いたくて、人恋しくて集まってくる訳でしょうから、無理もないとは思うのですが、なんか見たくない、この場で一緒の時を共有したくない感は強いので、最近はさっさと抜けるが勝ちを決め込んでいます。

 

仕込みから接客まで一人でこなす谷九の立ち飲み屋のママには威厳があります。

相当親しい人には名前で呼ばれてはりますが、みなさん「けいちゃん」とちゃん付け。

 

接客の形もできています。

「いらっしゃい」

「何しましょう」

「今日は○○と○○と△△」と大皿の宛ての読み上げ

オーダーには「わかりました」

「遅なりました〰、どうぞ」

客の話しかけには

「そうですか〰、はいはいはい」

つまらん話の時は、必殺生あくび噛み殺し。

でもそんな話をするタイプの人にはまったく通じないので笑えます。

 

ビジネス戦士に占領される時以外は、いつもこんな感じという安定感があります。

ビジネス戦士の型にはまった会話は、私には情報価値ゼロなので、これもさっさとその場から立ち去ります。

 

一言で立ち飲み・居酒屋と言っても、それぞれの個性が際立って、なかなか魅力的なスポットであることには間違いないです。