W還ライフスケッチ 135

『還暦ブルー』

 

「人生は1度や。もう嫌やねん今の仕事〰っ。なんかしたい!」

ご賢察の通り、酔っ払っわれての愚痴です。

もうすぐ還暦の喫茶店経営の女性、聞けばもう何十年もお店をやってはるそうな。従業員もいて、布施の商店街のどこかで、朝早くからがんばってはるとのこと。(屋号は忘れました。また聞いときます)

 

還暦2周目に入ったら、例えば「花より団子から団子より花へ」と生きてる時間の使用目的は変えた方がいいと思ってますし、彼女の思いもわからんでもないのですが、それが、なんで愚痴口調になってしまうかが、ちょっと気に食わんところです。

 

愚痴は続きます。

「なんで客に爪楊枝とったらなあかんねん、テーブルの上に置いたあるやろっ」

「毎日毎日、ありがとうございます言うのんもう飽きた」

まあ、ごもっともなことで、1杯270円(だそうです)のコーヒーを飲んでいただいて、ありがたいけど偉そうに顎で使われるのは、確かに「なんでやねん」というのもわかります。

 

「東大阪のおっさんバンドに参加せえへんかと誘われてんねんけど、聞いたら・・・やねん」

まあ要するに、なんかしたいねんけど、受け皿がない、何をどうしていいかわからないって状態のようで、

どこか似てますよね、還暦1周目の青春時代と。

 

「人生は1度やない2周目があるで」と言っても、まあ今のところ、全然説得力はないですしね。

還暦過ぎたら、店と客の関係も変わってきて、喫茶店の存在価値もまた違ったものが出てくると私は感じていて、今度、彼女が素面の時に話してみてもいいかなとも思うのですが、まあ多分「はあ?」っと語尾上がりで返されるのがオチと思えるので黙っときます。

 

まあこのような、言わば『還暦ブルー』の少年少女がたくさんいて、言い知れぬ不安と不満に対処しきれないでいることは間違いないようです。