W還ライフスケッチ 168 |
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ゲタの音
*初雪や 二の字二の字の 下駄の跡*
明日こそと楽しみに夜を過ごしましたが 残念ながら上町台地は街路の灌木がほんのり雪化粧程度で、下駄の跡が残るほどには積もりませんでした。
そういえば下駄を履き続けて6年、要するに還暦を過ぎてから、まだ一度も二の字経験をしていません。 新幹線の車窓からは、米原ー岐阜間で見ることはあってもあくまで景色。寒くも冷たくもないので、脳への刺激も中くらい。脳が記憶している、雪道を下駄で歩いた時のキシッというかキュッというかあの懐かしい踏みしめ感覚 を味わいたかったのですが、無理でした。
「なんで行かへんねん」「下駄がちびる」ケチを表現するダイラケの漫才ネタがあったように記憶していますが、下駄はほんまによくちびります。 お正月前に、日本橋3丁目のなじみの履物屋で、安い余りものの桐の下駄を勧めてもらって履いていたのですが、正月ひと月持ちませんでした。下駄の歯もちびてほとんど板、前部は欠けたりめくれたりでかなり悲惨な状態で買い換えに行って言われてしまいました。「そんだけよう履くんやったら桐下駄はもったいない、この輸入の固い木の下駄にしなさい」店主に言われるまま、今はカナダから輸入に安くて固い木の下駄をはいています。やはり日持ちはいいんですが、音も硬いです。
広島の友人が住んでいるマンションは、下駄ばき禁止らしいです。要するに住人には迷惑ということなんでしょうが、私の事務所ビルはそのようなルールはないのですが、やっぱりひょっとして迷惑と思うこともないではないので、気が付いているときは、ビル内では、足指でしっかり鼻緒を挟んで、そっと着地するように歩いて、音を忍ばせています。でもこの硬い下駄は、晴れた日、時々階段などで火の用心の拍子木みたいな大きな音がしてしまいます。すみません。でもまだどなたにも苦情は言われてません。
近所の立ち飲みの連れには♪下駄を鳴らして奴がくる〰♪なんて言ってもらっていい気持ちになったり、お掃除のおばさんには「この頃 音小さいですね、もっとカランコロンいい音さして歩いてくださいよ」って言ってもらったり。何より足と脳とふれあいコミュニケ―ションのために下駄はやっぱり止められません。
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